魚君達その7

今回は魚屋さんではなく、目の前の海で自分で釣った魚達です。
orata 1.オラータ(orata、鯛)
イタリアでは海釣りでの1番のターゲットはオラータと言ってもいいと思います。これが天然物のオラータです。海水温が上がってくるとトリエステにやってきます。警戒心の強い魚のようで岸からはおもに夜に釣れます。身が引き締まっていて、ウロコが薄く軟らかいのも養殖物との違いです。 鋭い歯と強い顎で貝を丸ごとかみ砕いて食べる魚なので、釣り針が完全に口の中に入ってしまうと、生きているうちは取れません。
グリルして食べます。食べたものの味が身に移る魚なので養殖物との味の差は歴然です。丸々と太った養殖魚のような脂もありません。
menola 2.メーノラ(menola)
魚屋さんでは滅多に見かけませんが、船で少し沖に出ると一年中いくらでも釣れる魚です。 普段は地味な色をしていますが、冬から春にかけての産卵時期になると、オスメスに分かれて、大きな魚は写真のような綺麗な青い模様の魚に変身します。これがオスです。
大きなものはグリルして食べます。
menola 3.メーノラ(menola)
対して小さい魚は地味なままで、卵を持ちます。これがメスです。
小さい物は小麦粉を付けて油で揚げます。数十匹も釣れると食べきれないので揚げた後、南蛮漬けや、こちらでイン・サヴォール(in savor)と呼ばれる酢漬けにして食べます。
calamaro 4.カラマーロ(calamaro、ヤリイカ)
冬になって海水温が下がるとトリエステにもやってきます。春になると一旦いなくなりますが、4月から5月に産卵のために戻ってきます。
トリエステでは冬になったら全員イカ釣りに専念します。 何故かと言うと、ここで釣れるイカはメチャクチャ美味しいからです。
トリエステ湾はアドリア海の北の行き止まりにあって、しかも海に流れ込む川が無いので、塩分濃度が高くなっています。 トリエステで釣れたイカは細胞の中に調味料が染みているのです。

seppia 5.セッピア(seppia、スミイカ)
秋になるとカラマーロよりやや遅れてトリエステにやってきます。これも4月から5月に産卵のために戻ってきた時が大物の釣り時です。
魚屋さんでは値段はカラマーロより3割くらい安く売られています。おいしさ的にカラマーロより劣るという認識のようです。
でもTriesteで釣れたセッピアを食べてみると評価はグッと上がります。セッピエのグリルはカラマーロのグリルと甲乙つけ難い美味しさです。

ribon 6.リボーン(ribon、鯛)
魚屋さんで売られている魚も天然ものなので、同じ物でしょう。
よく見ると3種類いることが分かります。こちらは口先の尖った最も一般的なリボーンです。 イタリア語ではパジェッロ・フラゴリーノと呼ばれます。色は薄いピンク。背中の近くに並んだいくつもの鮮やかな青い斑点が見えるのが特徴です。
ribon 7.リボーン(ribon、鯛)
目が大きなタイプです。イタリア語ではパジェッロ・バスタールドと呼ばれます。色はピンクですが、やや黄色がかっているようにも見えます。胸ビレの付け根が黒くなっているのも特徴です。
pagro 8.パーグロ(pagro、鯛)
リボーンによく似たピンク色の魚ですが、横から見るとより丸みがあり、色もやや赤みが強い魚です。一番の特徴は尾びれの先が白くなっていることです。 死んでしばらくたつと全面ピンク色になりますが、釣った直後はこのように色が斑です。
sgombro 9.ズゴーンブロ(sgombro、サバ)
夏に釣れる魚です。昔は釣りに行けばバケツ一杯釣れたそうですが、獲りすぎたせいか、(産卵場所の環境破壊のせいという科学的な見解もありますが)、最近はめっきり減ってしまったそうです。
魚屋さんで売られているものは大西洋で獲れたものか、地中海でも遠くアフリカ近くで獲れたものがほとんどで、 トリエステ近海ものは、希少で値段も3倍くらいします。もちろん美味しさも格別です。
suro 10.スーロ(suro、アジ)
夏になると岸釣りでも意外と大物が釣れます。
molo 11.モーロ(molo)
冬の魚です。魚屋さんでは唐揚げ用の小さめの魚をよく見ますが、春先には大きな魚も釣れます。
ほぼ必ずと言っていいほど針を飲み込んでしまうので、釣った後少し厄介な魚です。
lucerna 12.ルチェールナ(lucerna、ホウボウ)
売られている魚を見てもいまひとつピンときませんが、こうやって生きている魚を見るとなぜ「天使の魚」と呼ばれるのかよくわかります。
大きなものが釣れたらオーブンでジャガイモと一緒に焼きます。
boga 13.ボーガ(boga、鯛)
これも鯛の仲間です。目が大きいのが特徴です。
まず魚屋さんでは売られていません。釣りあげると必ずお尻からウンチを出します。雑食なのでしょうか、海藻類も食べているようです。 お腹の中にいつも排泄物をためている魚なので、臭みが強い魚です。
sparo 14.スパーロ(sparo、鯛)
この魚も魚屋さんでは滅多に見かけませんが、こちらは肉食のようです。美味しいです。
guatto 15.グアット(guatto、はぜ)
この辺りではこげ茶色が釣れます。唇が赤いのが美味しいと言われています。
口が大きい魚なので、思いもよらぬ小さい魚も針に掛かってしまい、あまり嬉しくない魚です。美味しい魚ですが、小さい魚は食べる部分がちょっとしかないので。
昔は20センチ以上の大物も釣れたそうですが、今は10センチ前後のものしか釣れないので、基本は唐揚げで食べます。
たくさん釣れたらリゾットの具にします。私は好きです。
mormora 16.モールモラ(mormora、鯛)
冬になると魚屋さんではよく見かける魚ですが、滅多に釣れません。
sacchetto 17.サッケット(sacchetto)
ハタの仲間だそうです。10センチ以下の小さな魚ですが、口がものすごく大きく開くので、生意気にどんなに大きい針にでも食いついてきます。 海の底にたくさんいるので、何も釣れない日でも、サッケットだけはたくさん釣れます。
唐揚げにして食べることはできますが、身がほとんどないので、骨を食べる感じです。ということで、釣れてしまっても普通は捨てます。
ただし船釣りで海底から釣りあげると、浮袋が膨らんでしまって底に戻ることができなくなってしまいます。かわいそうに海に戻しても死ぬだけでしょう。でも自然はうまく出来ています。 船釣りをしているとカモメが飛んできて、船のすぐそばに浮かんで待機します。釣れてしまったサッケットを海に投げると、サッと飛びついて食べます。

18.シャッラノ(sciarrano)
この魚もサッケットと呼ぶ人もいますが、学名が違う魚です。お腹に青白く輝く部分があるのが特徴です。 海の中を泳いでいるときは熱帯魚のように綺麗な魚です。

agulia 19.アグーリア(agulia、ダツ)
大きな魚から身を守るため、夜になると港や岸壁近くに群れでやってきます。
スズキを釣る人は、これを網ですくって生餌として使います
釣り針でもたまに釣れます。

tordo 20.トールド(tordo)
ロックフィッシュです。磯釣りに行くと釣れます。トールドとはもともとツグミという鳥のことです。色がツグミに似ている魚ということで、こう呼ばれています。
食べれますが、特に美味しいわけではありません。魚屋さんでは一度も見たことはありません。

tordopavone 21.トールドパヴォーネ(tordopavone)
トールドにも数種類いて、これは色がきれいで、熱帯魚のようです。
パヴォーネとはクジャクのことです。


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