魚君達その6

これらもトリエステの魚屋さんで比較的良く見かけられる魚達です。
sarago 1.サーラゴ(sarago)
体に縦縞が入っている魚はいくつか見られますが、これは写真のように横から見ると丸っこい体型をしています。サーラゴにもいくつか種類があるのですが、これは口先が少しとがっている種類でスピッツ(spizzicare、少しずつ食べる)と呼ばれています。
トリエステの前の海に生息する代表的な魚だそうですが、獲り過ぎたのでしょうか、最近めっきり魚屋さんで見かけなくなりました。
調理法はオラータやブランズィーノ同様あまりハーブを使わず、本来の味を生かせる方法で。
mormora 2.モールモラ(mormora)
この魚も縦縞模様の代表的な魚で、特に寒い時期は魚屋さんの主役です。トリエステの魚屋さんで見かけるものは皆トリエステの前の海から獲れた魚なので新鮮です。トリエステの前の海で獲れるモールモラはモールモラ・ディ・ミラマーレと呼ばれるブランド魚です。冬になると大量に獲れるようで比較的安い魚です。キロ12ユーロくらい。
オラータやブランズィーノほど味のある魚ではないので、塩包み焼きにしろオーヴン焼きにしろハーブを加えて調理すると良いでしょう。
salpa 3.サールパ(salpa)
対して、これは横縞の魚の代表選手です。水色の胴体に黄色い縞模様が入っていて、なかなかおしゃれな魚です。この魚はベジタリアンなので海草しか食べません。それが内臓にたくさん残っていることが良くあります。あまり安い時には気をつけてください、かなりきつい臭いをお腹に抱えていることがあります。
いずれにせよ海草の臭いが身に染み付いている魚なので、苦手な人は遠慮した方がよいでしょう。あるいはハーブと共にオリーブオイルにつけて臭いを消してから調理しましょう。
ombrina 4.オンブリーナ(ombrina)
やや黒ずんだ色をしていることからこう呼ばれるのでしょうか?オーンブラ(ombra)とは「影」です。ただし、黒いだけでなく金と銀のギザギザ模様が体一杯に入っています。また下あごにアンテナのようなものが付いているのが特徴です。これを使って鳴くことができるそうです。似たような魚でコルヴィーナという魚がいますが、コルヴィーナにはこの髭が付いていません。辞書によると日本では「ニベ」と呼ばれているそうです。
はっきりいって美味しい魚です。トリエステの魚レストランでは比較的よく見かける魚です。でも最近養殖物が出回り始めたので、ちょっとがっかりです。
scorfanonero 5.スコールファノ・ネーロ(scorfano nero、黒かさご)
背びれに毒のある魚です。”おこぜ”と呼んだ方が良いのでしょうか?他にもエラ蓋のとがった部分と頭の角にも毒を持っているようです。買うときに魚屋さんで毒のある部分を除いてもらったほうが安心です。遠海に生息するのが黒。(日本と一緒)。黒の方が赤よりおいしいと言われていますが、トリエステではあまり見かけません。
良いダシが取れるということで、魚のスープ「ブロデット」や「ズッパ・ディ・ペーシェ」に欠かせない魚です。
scorfanorosso 6.スコールファノ・ロッソ(scorfano rosso、赤かさご)
こちらは近海に生息する赤。トリエステの魚屋さんで見かけるカサゴはたいがいこちらです。ここではスカルペーナと呼ばれています。見た目は悪いですが、食べるとおいしいです。大きいものはオーヴンでまるごと調理するとよいですしょう。この醜い顔の魚がドーンと一匹お皿に乗って出てくるとなかなか迫力があります。特にハーブは必要ありません。ジャガイモか玉ネギをオーヴン皿にひいてその上に塩コショウしたスコールファノをお腹を下にして置きます。ニンニクひとかけをお腹に入れても良いでしょう。半分火が通ったところ(約10分後)で辛口白ワインをコップ一杯オーヴン皿に注ぎいれます。キロ25ユーロくらい。
lucerna 7.ルチェールナ(lucerna、ホウボウ)
ホウボウです。鶏のようなので、カッポーネとかガッリネッラ(どちらも鶏)などとも呼ばれます。胸ビレが大きくカラフルで、天使の羽を想像させるので(中世に書かれた受胎告知の絵を見てください。)、トリエステではペーシェ・アーンジェロ(天使の魚)とも呼ばれます。あまり大きなものは売られていなくて、大きくても一匹300gです。頭から良いダシがでるので、スープのダシ用にとっても小さいものも売られています。
200g程度以上のサイズのものが見つかったら、じゃがいもと共にオーブンで焼くのが一番簡単です。あるいは3枚におろして、まず頭と骨を水や濾したトマトで煮てダシを取ります。それをザルで濾したものに切り身を入れて魚のスープとして頂きましょう。
guatti 8.グアッティ(guatti、はぜ)
ギオッツォと呼ばれるのが一般的かもしれません。ヴェネーツィアでは”ゴ”と呼ばれています。春から夏にかけて暖かくなると魚屋さんに並びます。トリエステの前の海の底にたくさん泳いでいます。灰色のものと黄色がかったものと2種類いますが、黄色がおいしいと思います。食べ方の基本は唐揚げです。肉付きが良いので意外と食べ応えがあります。おいしいと思いますが、あまり人気はないようです。値段はキロ3−6ユーロといった感じです。頭からよいダシが取れるので、リゾットにも向いています。玉ネギやニンジンなどと共に丸ごとクツクツ1時間ほど煮てザルで濾してダシ汁をとります。ダシをとり終わったハゼは頭と皮と仲骨を取り除いた身を取っておきます。バターか油で炒めたお米にハゼからとったダシを徐々に加えてリゾットを作ります。最後にハゼの身を加えて出来あがり。
passera 9.パッセラ(passera、カレイ)
これは右を向いた正真正銘のカレイのようです。日本でも「カレイは大衆魚、ヒラメは高級魚」と言われますが、イタリアでもこの魚はたローンボ(ひらめ)に比べると値段の安い魚です。味も淡白でローンボほど旨みがありません。でもトリエステの近くで獲れた物は魚屋さんでもまだ生きていて、時々跳ねているものを見ることもあります。鮮度の点から言えば申し分ありません。
トリエステでは「ほとんどの魚は最近数が減った」と言われますが、この魚に関してはそうでもないようです。カレイは海水温の低い所で産卵するそうで、地球温暖化のため海水温の低い場所を求めてどんどん北上してアドリア海では一番北に位置するトリエステに皆集まってきているのだそうです。でもいつかここでも暑すぎることになったら、消えてしまうのかもしれません。
トリエステでは冬の魚です。キロ5ユーロから10ユーロくらい。
小さいものは小麦粉を付けて唐揚げに、大きめのものは小麦粉をまぶした後フライパンでバターで炒めます。
palombo 10.パローンボ(palombo、さめ)
トリエステではアジアッとも呼ばれます。体長50センチ程の小さいサメです。小さいですが顔を見ると確かにサメです。いつもこのように皮を剥がされた状態で店頭に並んでいます。日本ではあまりサメを食べませんが、こちらでは比較的良く食べられる魚です。その一つの理由は食べやすさでしょう。断面の丸い太い背骨があるだけで、他にとがった骨も小骨もありません。だから調理後に簡単に骨を身から剥がすことが出来ます。プリプリ感のある食感が特徴です。茹でるだけでもOKですし、3センチくらいの長さの輪切りにして唐揚げにしても良いでしょう。

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