魚君達その3

今回はEPAやDHAを多く含み、食べると健康に良いとされる「背の青い魚」を集めてみました。
イタリア語ではペーシェ・アッズーロ(Pesce Azzuro、青い魚)です。
sardele 1.サルデーレ(sardele、いわし)
イタリア語では他にサールデ(sarde)、サルディーネ(sardine)とも呼ばれます。公式にはサルディーネだそうです。日本の鰯(いわし)よりも一回り小さい鰯です。トリエステの目の前の海で獲れる魚で、夏になると魚屋さんに現れます。その日のものがキロ3ユーロ、1日前のものはキロ1ユーロが相場です。それ以上は魚屋さんの前で待っている猫やカモメの餌になります。
その日のものを買って、バーベキュー(塩焼き)で食べるのが一番。ウロコも内臓も取る必要はありません。これは日本の秋の秋刀魚(さんま)といっしょですね。日本の鰯もこんなにおいしかったでしょうか?
sardoni 2.サルドーニ(sardoni、片口いわし)
この魚もトリエステの目の前の海で獲れる夏の魚です。写真では分かりませんが、サルデーレよりもかなり小さい魚です。アッチューゲ(acciughe)あるいはアリーチ(alici)が本当のイタリア語名。アンチョビ(アッチューゲ)になるのはこの魚です。
サルデーレは鰯特有の強い味がしますが、このサルドーニはもっとデリケートな味で、脂ものっていないのでトリエステではサルデーレより圧倒的に人気があります。その分値段もやや高めです。「パースタ・ビアーンカ(白い身)」と呼ばれる、その日の朝獲れた物はキロ5ユーロ前後です。これは調理しても身の色が白いままなので、そう呼ばれます。
小麦粉をまぶして油で揚げるのが一番。その日に食べない分は揚げた後、マリネにするイン・サヴォール(in savor)にすれば、1週間以上食べられます。
suri 3.スーリ(suri、あじ)
鯵(あじ)はイタリアではスーリ、あるいはスゲレッリと呼ばれます。スーゲロはワインのコルクのことで、この魚は海面にプカプカ浮いてくることから、このような名前で呼ばれるそうです。
日本の鯵と一緒でゼイゴ(尖った大きなウロコ)がついています。
ここでのアジは小さいもの(10cm前後のもの)が多く、1キロ1ユーロと破格です。(そんなスーリを刺身にしようなんて思ったら、こりゃまた大変!)対して、大きなアジは貴重なようで40cmくらいのものもありますが、割高です。
日本ではおいしい魚と言われる鯵ですが、味が淡白すぎるせいかイタリアでは人気がありません。開いて生干しにするとおいしいことをイタリア人は気付いていないようです。
pappaline 4.パッパリーネ(pappaline)
鰯の一種だと思います。サルデッレとサルドーニの中間のような魚です。この魚もトリエステの前の海にたくさんいるらしく、キロ1ユーロ程度ととても安い魚です。たったの40セント(約50円)で二人がお腹一杯になるというのは驚きですね。でも、あまりに安すぎるせいか魚屋さんではあまり見かけません。「猫の餌」だと言う人もいます。日本でも以前「鰯は豚の餌」と言われていたことを思い出します。
sgombro 5.ズゴーンブロ(sgombro、さば)
写真で見るように日本の鯖とは少し違いますが、その模様からも明らかに「鯖」です。こちらでは日本で普通に見るものより小さい物が売られています。1匹300g前後で、1人1匹という感じです。時期によってはもっと小さなズゴンブレッタも出回ります。
鯖は鮮度が大事なので、しめ鯖で食べたいときは信頼できるお店で買った方が良いと思います。
aguglie 6.アグーリエ(aguglie、だつ)
「さより」の親戚だそうです。40cmくらいの長い魚です。日本でも釣れるそうですが、魚屋さんで見ることは無いように思われます。トリエステの魚屋さんでも夏に少しだけ見られる程度です。背の色は青というより緑色です。更に、さばくと驚くことに骨が緑色をしています。どうやらそれが敬遠される理由のようです。この魚は夜行性なのだそうで、昼間海で泳いでいると寝ぼけているのか人のすぐ近くまでやってきます。
これだけ長い魚なのでフライパンでは調理しづらいので、オーヴン焼きが一般的なようです。私は開いて生干しにして、網で焼いて食べています。
tonno 7.トーンノ(tonno、まぐろ)
鮪(まぐろ)は春から秋にかけて登場する魚です。その時期でも時々しか店に並びません。つまり鮪の刺身を食べることはそう簡単ではありません。日本では信じられないことですね。しかもイタリアでは鮪はこのように輪切りにされて売られます。赤身も血合いもトロも全てひっくるめて重さのみで値段は決まります(私の良く行く店ではキロ15ユーロくらい)。頭側から切り売りされていくので、朝早く行かないとトロは残っていないことになります。ただしこちらで見る鮪は長さ1メートル、重さ20キロくらいの小さめの鮪なので大トロは付いていません。でも獲れたては美味いです。
イタリア人も日本人同様鮪が大好きですが、「イタリア近海で獲れる良い鮪は日本が全部大金を積んで持っていってしまう」というのは、こちらでは有名な話です。ところがおかしなことに、日本で普通に食べる鮪の刺身と、こちらの魚屋さんで買った鮪を刺身にしたものでは明らかに味が違います。と言うより、こちらの物を食べ慣れると日本で食べる鮪には味が無いように思えてしまいます。日本に運ばれるイタリアのおいしい鮪は何処へ行ってしまうのでしょう?
spada 8.ペーシェ・スパーダ(pesce spada、めかじき)
スパーダとは剣のこと。鼻のところに立派な剣(角)をもった魚で、ペーシェ・スパーダのある日にはその頭が飾られている魚屋さんを良く見かけます。ちなみにメカジキはカジキマグロとは違う魚で、日本では寿司だねにはならないようでが、こちらでは”イタリア版刺身”とも言うべきカルパッチォ(carpaccio)でお目にかかります。
イタリアではマグロよりも人気のある魚です。火を通したマグロとペーシェ・スパーダでは私も迷わずペーシェ・スパーダに軍配を上げます。そのままフライパンで焼いてステーキにしても十分おいしいのですが、トマトとの相性がとてもよいので、フライパンの上で炒めている途中でスライスしたトマトを一枚乗せたり、あるいはトマトソースの中で煮込んだりしてもおいしく頂けます。
palamita 9.パラミータ(palamita、はがつお)
辞書で調べたところ日本名に「かつお」と付いていて、見た目も鰹(かつお)ですが、さばいてみると全く別物です。肉はピンク色で若いマグロという感じです。口をあけると鋭い歯があることから「はがつお」と日本では呼ばれるのだそうです。私は知りませんでしたが日本でも見かけられる魚だそうです。
大きい魚なのでなかなか買いづらいですが食べ応えは十分です。ぶつ切りにしてからトマトソースで煮るのが一般的なようです。

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