魚君達その2

今回は軟体動物(mollusco)を集めてみました。
seppia 1.セッピア(seppia、墨いか)
体の中に甲を持っているコウイカの一種で、おそらく「墨いか」という日本名があると思います。このイカは「墨いか」と呼ばれるだけあって大量のおいしい墨を持っています。大きい墨いかだと1匹で10人分くらいのイカ墨スパゲッティをいっぺんに作れてしまうほどです。1度さばくと、しばらく指から黒い墨の色が取れません。墨がおいしいせいか、身の味は今ひとつかな。煮込み料理に向いているようです。
魚屋さんでは1年中見られます。キロ7ユーロから15ユーロくらいです。墨を使った有名なヴェネツィア風セッピエ、あるいはトマトで煮込むセッピエ・イン・ウーミドなどが代表的な料理でしょう。
セピア色という色はもともとこのイカの墨を原料にした絵の具の色です。
seppia 2.セッピア(seppia、墨いか)
この写真のイカもセッピアです。
このイカの場合、この写真のように既にきれいにされた状態で魚屋さんの店頭に並んでいるのもよく見かけます。この場合内臓だけでなく墨袋もきれい洗われてしまっていることもあります。
セッピアはイカ墨だけでなく、肝や卵(白い大きな塊と数十個の半透明の玉)なども食べられるので、内臓のないものは私は買いません。
calamaro 3.カラマーロ(calamaro、ヤリイカ)
セッピアに対して、こちらは墨をあまり持っていませんが、身はとても柔らかく、味は深くおいしいです。ですから凝った料理は必要ありません。輪切りにして小麦粉をまぶして唐揚げ(フリット)にするとその味は絶品です。イタリアに来たら是非カラマーリのフリット(Calamari Fritti)を試してみてください。日本で食べていたイカリングとは全く別物です。イカの味を再発見できること請け合いです。
トリエステでは伝統的には胴体だけで20cmくらいの大きなカラマーロがよく食べられていたようですが、最近は身の柔らかいもっと小さなカラマーロ(胴体が10cmくらい)の方が人気のようです。新鮮な大きいものはキロ20ユーロ前後。小さいものは10ユーロ前後です。
polpo 4.ポールポ(polpo、たこ)
お隣りフランスではタコは食べないそうですが、イタリア人は食べます。特に南イタリアで好まれるそうで、生で食べることもあるそうです。トリエステでは写真のような細い足をした比較的小さなタコが主に売られていますが、あまり人気はないようで、魚屋さんでもいつも売れ残っているような印象を持っています。茹でたじゃがいもと食べるか、イカや他の魚介類と一緒にミックスになることが多いようです。フリッタやマリネが代表的な食べ方のように思われます。キロ6−8ユーロ。
実は写真のタコはイタリア語ではモスカルディーノと呼ばれ、本当のポルポではありません。本当のポルポ(イタリア語ではポルポ・ヴェラーチェ)は日本でいう「真ダコ」で日本で見るような太い足をしたタコです。モスカルディーノよりおいしいと言われています。見分け方は簡単で、吸盤が1列に並んでいるものがモスカルディーノで2列のものが真ダコです。調理法としては、とにかくまず茹でる。日本と一緒です。イタリア人もいかに硬くせずに茹でるか悩むようです。良くたたく、一度凍らせる、弱火で長時間煮る、ワインのコルクと一緒に煮る、等さまざまな意見がありますが、茹でたあと、茹で汁から取り出さずに冷めるのを待つのがコツの様です。トマト煮がおいしいと思います。
vollneri 5.ヴォルネリ(vollneri、あさり)
この地方(トリエステ近辺)でとれるあさりで、岩場にいるから砂を吸い込んでいません。そこがヴォーンゴレ(vongole)との違いです。ちなみにヴェネーツィアのあさりはヴォーンゴレです。砂抜きする必要ない分ヴォーンゴレより少し高くてキロ12ユーロ。
貝は鮮度の良し悪しが分かりづらいので、「生の貝は獲れた日付の書かれた紙と一緒にネットの中に入れて売らなくてはいけない」という法律があるそうで、トリエステの魚屋さんでは必ず、そのようにして売られています。でもナーポリではネットを使わず、水を張った大きなたらいの中に入れられて売られていました。たらいの中の貝の方がおいしそうには見えるのですが・・・。
telline 6.テッリーネ(telline、しろ貝)
少し高級な貝です。味もあさりよりも甘みがあっておいしいです。生でも食べれます。
これは砂場にいる貝なので、しばらく砂抜きしなくてはいけません。ただし、イタリアには「獲れた貝は出荷する前に24時間水槽の中で浄化すること」という法律もあるそうで、そのため砂抜きもかなり行われていることになります。多くの人が「砂抜きは2時間」と考えているようです。
vongole 7.ヴォーンゴレ(vongole veraci、あさり)
お待たせしました。ヴォーンゴレです。イタリアでは「ヴォーンゴレ」という名前の付いている貝は4種類だそうですが、私の見る限り魚屋さんで良く見られるのは2種類、ヴォーンゴレとヴォーンゴレ・ヴェラーチです。写真の貝はヴォーンゴレ・ヴェラーチです。「ヴェラーチ」とは「本当の」という意味で日本語に直せば「真あさり」といったところでしょうか。これはヴォーンゴレよりもやや大きめで、貝殻の色がカラフルです。ヴォーンゴレの貝殻は灰色なので一目瞭然です。どちらがおいしいかはその都度魚屋さんで聞いてください。あるいは値段を見比べてください。キロ10−14ユーロ。
cozze 8.ペドーチ(pedoci、ムール貝)
日本でもおなじみムール貝です。イタリアではコッツェ(cozze)あるいはミーティリ(mitili)と呼ばれます。養殖が大変盛んな貝で、イタリアでは一番安く手に入る貝です。トリエステでは目の前の海で養殖されたものが1キロ2〜4ユーロで売られています。ワイン蒸しにして単独で食べても良し、パスタの具にしても良し。ただし安いからといって、いくらでも食べてよいかと言えば、?です。
cappasanta 9.カッパサンタ(cappasanta、ホタテ貝)
日本でお目にかかるのと同じホタテ貝だと思います。
この貝の名前は「聖人のケープ」という意味をもっています。聖ジャーコモ(ヤコブ)がこの貝殻を祝福のための水を入れる容器に使ったことから「コンキーリャ・ディ・サン・ジャーコモ」(conchiglia di san giacomo、聖ジャーコモの貝殻)とも呼ばれます。
通常キロ10ユーロ近くするので、1個2ユーロくらいになりますが、冬になると値段が下がって半額までいったら迷わず買いましょう。
塩水につけておいても砂は取りきれないので、日本での様にそのまま火にかけて開くのを待つわけにはいきません。調理する前に開いて砂を洗い流さないといけません。貝殻をお皿にした、ホタテ貝のグラタン(cappasanta gratinata、カッパサンタ・グラティナータ)はよく見かけるアンティパストです。もちろん生でも食べれます。
canestrei 10.カネストゥレッリ(canestrelli、ホタテ貝)
5cmに満たない小さいホタテ貝です。ペッティーネ(pettine)と呼ばれることもあります。カッパサンタの子供だと思っていたら、学名も違うので、種類が違うようです。
塩水に入れておくだけでは砂が取りきれないので、一つ一つ開けて砂を洗い流さなくてはいけません。これをメインにしようと思うと二人分で40、50個はかなりの量で、そこまでして買う貝かな?という気もします。貝殻から外して良く洗ったら小麦粉をまぶして唐揚げにします。グラタンにしてもよいでしょう。
トリエステの伝統的魚料理のトラットリアに行って「暖かい前菜の盛り合わせ」と頼むと必ずお皿に乗ってくる貝です。
cannolicchi 11.カンノリッキ(cannolicchi、レーザー貝)
カッペ・ルンゲ(cappelunghe)とも呼ばれます。砂場に深い穴を掘って生活している貝だそうです。危険を察知すると1メートルもの深さまで一気に潜っていくそうです。砂抜きの時点で、動き回り、しっぽを脱皮したり延びたり縮んだり・・本当に活発な貝です。細長い体はヘビのように動き回り、ちょっとグロテスクです。砂をこの長い体いっぱいに吸い込んでいるので、最終的には調理する前に切って水で洗わないといけません。
かなり味の強い貝で、中身の量も多く、食べ応えのある貝です。どんな方法で火を通してもおいしい貝です。
tartufo 12.タルトゥーフィ・ディ・マーレ(tartufi di mare、貝)
「タルトゥーフォ」はトリュフのこと。丸っこい形からだけで、そう呼ばれている訳ではありません。味は貝の王様です。レモンをちょっとたらして、出来れば生で頂きましょう。「火を通したら台無し」と言う友達は、手を傷だらけにしながらナイフで貝を開けてくれましたが、生きているこの貝を開けるのは大変です。残念ながら我々には難しいので、火にかけて貝が開くのを待つしかありません。
ここではドーンドリと呼ばれています。
ostrica 13.オーストゥリカ(ostrica、カキ)
他の貝と同じく殻ごと売っています。もちろん生きています。殻を開けるのは初めは大変でしたが、いくつか開けていけばすぐにコツはつかめます。やはり生がお薦めです。レモンをたらしてズルズルっと頂きましょう。
mussoli 14.ムッソリ(mussoli、ムール貝の一種)
イタリア名は分かりません。昔はトリエステでは道端で焼いて売られていたそうですが、現在は数が減りめずらしい貝になっています。変わった貝で、火を通しても開きません。その代わり”蓋”が付いていて、食べるときはその蓋を外すと簡単に開くことが出来ます。貝の中には”海の味”が詰まっています。中のスープをこぼさない様に注意して頂きましょう。身は硬く、噛めば噛むほど味の出るスルメのような貝です。

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